なぜ平均律の狭間でのたうちまわるバッハがかっこいいと思うのか

チャールズ・ローゼン「ピアノ・ノート」を読んだ。

優れた調律師は優れたピアニストより少ない。というのがローゼンの主張だ。つまりは自分の楽器を持ち歩けない、調律がままならない、平均率しか鳴らせない、ペダルの操作もモーツアルトの知ったことじゃない。それがピアニストの悩みと云うものなのだ。

音楽の変質、つまりは観客との距離の変化を、ピアニストほど実感するミュージシャンはいないかもしれない。サロンミュージックからホールへの変化は、ピアノという楽器も、ピアニストたちも変えてしまったのだなあ。知識と理解力の不足で、読了までずいぶん時間がかかったけれど、読んでる間、ずうっと楽しかった。

音楽の基礎的な素養が不足している僕だけれど、様々なピアニストのゴシップが楽しかった。
有意義な一冊。

ピアノ・ノート

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