なぜ温泉巡りをしているだけなのに美味しいものに巡り会うのか

温泉旅行の続き。

宿を出た後は、再びバスに乗り桃源台へ向かう。芦ノ湖へ向けて山をぐるりと回り込むコースだ。車窓からの眺めもなかなかいい。桃源台からはロープウェイに乗り込む。これに乗るのは初めて。お客も多いけれど10人ちょっと乗れるゴンドラが次々来るのでさして待たされない。

ゴンドラからの眺めは素晴らしい。どんどん芦ノ湖が小さくなり、向こうには予想外に大きな富士山が見えてくる。まだ雪をかぶっている美しい姿である。天気に恵まれ、遠くの山々もきれいに見える。子どもたちは大喜び。オヤジもうれしい。そのあとはまた別のロープウェイ、さらにケーブルカーに乗り継いで、強羅に到着する。若い頃はこういう楽しみは通俗的な気がして避けていたのだが、おっさんになってみると、これもなかなか楽しいものである。

強羅で、このまま登山鉄道に乗って降りるのは惜しい、ということになり案内所の小母さんに日帰りで入れる温泉を紹介してもらった。そのひとつが太陽山荘という宿。強羅の駅から地下道をくぐって線路の向こうへ出て、ケーブルカーと並行する道を5分ほど登ると右側にある。戦前からある建物はジブリの映画に出てきたお湯屋さんを思わせる風情があるものだ。一方、お風呂は秋に建て替えたばかりのきれいなもの。泊まり客も帰った後で、我々の他には誰もいない。特筆すべきはそのお湯だ。もちろん掛け流し。温泉パワー全開。素晴らしい。温度は熱めが好みの僕だが、パワーが強すぎてあまり長居が出来なかったほど。風呂上がりはまたビールだ。ぷは〜。

山荘の裏手に「檜扇」というおそば屋さんがあって、ここで昼食。ごくふつうの住宅がそのままお店になっていて、親戚の家に遊びにきているような、不思議な気持ちになる。そんな普通の建物だけれど、出されるおそばはとてもおいしい。僕は餅からみそばをたべた。餅は揚げ餅である。大根おろしと、天ぷらがのっていて、ここへ出汁をかけて食べる。とても好み。

なんだか気まぐれに温泉を巡っているだけなのに、恵まれているなあ、と思いつつ帰りもロマンスカーで生ビールを飲みながら東京へと運ばれていくのだった。

翌朝体重を計ってみたら、2キロ増えた。当然か。