なぜ芸術劇場のしっとりした空間を猥雑な池袋が覗き込んでいるのか

特別なことがないと日記に書くネタがない、と子供の頃には思ったが、そうではない、と大人になって気が付いた。

毎日色々のイベントが進行すると、それを「記録」するのが精一杯になってしまう。ちょっと距離ができたころ書く方がネタはむしろ豊富なのだが、そうなると記憶力に問題があり、うすーい内容になってしまう。悩ましいのである。

次女が所属している合唱団の発表会があって、池袋の芸術劇場へ行ってきた。
何度も尋ねた場所だが、なんだかいつも駐車場がいっぱいだったり、塗れた傘を引きずっていたりするような悪い印象しかなくて、気が進まなかったのだが、久しぶりに行ってみると実は巨大な大空間をガラス張りにして、壁を通路として開け放ち、往来と同化して、そのなかに4階ぶんを一直線に登っていく空中エスカレーターがある。こんなだっけ?と思いました。

ずいぶん年月が経ってもモダンな匂いのする、東京オリンピック当時の建物に似ている。駐車場は使いにくいし、屋内の光る滝からは飛沫が床を濡らすのだろう無様なシートがかかっているしで、まあ、性能的にはいろいろありそうだけれど、嫌いじゃなくなりました。

特に6階のホワイエの大きな窓ガラスはいい。中は上品に芸術を堪能する人々が休憩時間にシャンパンとか飲んでいるのに、外のラブホテルの巨大な看板が素敵。