なぜエディット・ピアフを見たすぐあとではシャンソンを聴く気がしないのか

versaloft2007-10-15


ずっと見たかった映画「エディット・ピアフ 愛の讃歌」をようやく見た。

見たかった理由は、もちろんピアフへの興味があったからだが、それ以上に映画で見れば複雑な生い立ちとか、シャンソンの内容とか、ややこしいことがすっきり分かるのではないかと思ったからだ。結果から言うとますます複雑で分からなくなりました。

自称芸術家の母に捨てられ、祖母と貧民窟で暮らし、従軍していた父親に救い出され、実家に預けられたがそこは売春宿。退役した大道芸人の父とサーカスで巡業し、パリに戻って街頭で芸として歌を歌うようになる。虚弱体質から視力を失い(後、回復)、子供を産み、子供を失う。パトロンを得て、パトロンと死別し、不倫の愛人を得て、また死別する。薬とアルコールに溺れ、栄光と挫折を繰り返す人生。しかも、ヨーロッパが戦火に焼かれる時期に、そんな不幸はエピソードにも現れないほど、個人的な不幸と幸運が繰り返されて、シャンソンだけが凄みを増して行くのでした。

シャンソンって素敵で、好きだけれどiPodに入れる気がしない。なんだか重すぎるんだなあ、喜びも悲しみも深すぎて日常には持ち込めない。その理由がわかった気がしました。

映画館で見ることをお薦めします。いい映画です。