なぜ12月になるとドーナツ屋の珈琲を想い出すのか

versaloft2006-12-11


真夜中に会社から自転車で帰ってきた。
12月の夜の空気は、なぜか切ない。学生時代の夜更かしを想い出す。冷たい風に頬を撫でられていると、心細さと開放感がないまぜになった夜遊びの心地がする。虎ノ門を走り抜ける頃、iPodが勝手に流してくれる音楽が松任谷由実の「影になって」だった。「冷えだした手のひらで包んでる紙コップはドーナツ屋のうすいコーヒー♪」さすがユーミン、あの頃の夜遊び気分をうまいこと歌うなあ。当時はダンキンドーナツがまだあちこちにあって、銀座も渋谷も青山も夜中まで開いていたっけ。もうみんな吉野家になってしまったけれど。
遊び疲れて、でもまだ帰りたくなくて、さっきまで一緒に騒いでいた友達はいつのまにか一人消え二人消え、数人の男どもと、時々は女の子もいっしょにドーナツ屋でたわいもない話を続けていた。頭の中で財布に残った千円札を数えて、タクシーに乗るべきかこのまま始発までがんばるべきか、明日はいったいどうなるのか、よくわからない不安を抱えて笑っていたっけ。

あのころスタンプを集めてもらったダンキンドーナツの灰皿が、まだどこかにあるはずだなあ、などと考えていたらあっというまに家に着いてしまった。