なぜ今日もどんぶりを抱えて目を細めているのか

versaloft2006-10-04


なんだか連日食べ物のことばかり書いている気がする。これではまるでグルメblogのようだ。意地汚い、食い意地が張っているのを今更隠すつもりはないが、インチキ評論家のように見られるのは本意ではない。どこに本意があるのかと問われれば答えに窮するが、不本意ならいっぱいある。それを全部書けというのかっ。って興奮してすみません。

で、けっきょくランチの話の続き。すみませんすみません。

きょうは京橋「栄一」。この店のランチといえば焼鳥丼である。
まだ路地に面した古い店構えのころから通っている。とても好きな店なのだが訪れる機会は少ない。OL、おじさん、おばさん、じいさんに幅広く人気があって昼は特に混んでいるからである。しかも注文を受けてから焼き始めるので時間がふつうの店よりずいぶん余分にかかるのである。というわけで忙しい同僚を誘うには条件が悪いので、時間が外して一人で行くことが多い。
今日もひとりで出かけたが、一時過ぎだったのでカウンターに席が空いていた。ラッキー。磨かれた清潔なカウンターがいちばん好きな席だ。迷わず焼鳥丼を注文。カウンターが好きな理由は他にもある。向かいで職人さんが焼鳥を黙々と焼いている様子が見物できる。ウキウキした気分を悟られまいと文庫本を読みながら大人らしくむっつりした顔をして待つ。が、抵抗むなしくいい香りに相好が崩れていくのがわかる。並んで待っているサラリーマンたちも同じような状態である。よだれをごまかすために漬物とお茶を時々口に運ぶ。この時間が長い。が、嬉しい。

そうこうするうちに焼鳥丼が登場する。拍手でお迎えしたいくらいである。焼きたての焼き鳥が5本分ならんだ丼に、七味をやさしく振りかけて、なにも考えずに食べ始める。ぷりぷりと口の中ではじける砂肝の次は、外はさっくり中はふんわりやわらかいレバー、その次は香ばしい香りのつくねと食べ進んでいく。3つ並んだウズラのひとつを味わって、次にはまたレバー。こんどはつくねと見せかけて、不意打ちで脂とろりのもも肉だあ、どれもうまいぜコンチクショー!と東海林さだおのようになってしまう。
時々、澄んだ鳥のスープ(これもおいしい)に手を伸ばし、焼鳥丼と休戦するのだが、それも長くは続かない。すぐに丼の最前線で箸を振り回し格闘するのである。かくて8分後にはお米一粒残すことなく、戦闘は終了した。遠くで友軍の勝利を告げるラッパが鳴っているのが聞こえる。

ご馳走様でした。これで1050円は安いと思います。