なぜ晴れた日はモノクロの写真を撮りたくなるのか

実家の建物を取り壊すことになったので片づけなどいろいろ。中学生から社会人になるまでの17年あまりを過ごした家であるので思い入れもあるが、誰も住まないまま放っておくわけにもいかない。母と姉たちも集まったので、記念の写真を撮っておいた。それとは別にモノクロフィルムを入れたカメラも持参。21ミリレンズで、家の中などを撮り歩く。こういうのはカラーだと生々しすぎて情緒にかける気がするので。
写真というものは不思議なもので、カメラのファインダーを通して見ることではじめて気がつくことがある。ふだん、いかにぼんやりと眺めて暮らしているかの証左なのだが、ああ、この石の形はこんな形をしていたか、とか、梁の形と周り縁は相似形になっていたのかとか、いまさら感心したりしている。解体工事が始まるまではまだ間があるので、もういちど撮影に来てみようかと思う。

写真は犬小屋があったところに置かれたバケツ。厚いアルミが傷んで不思議な模様になっている。