なぜクルマの鍵が閉じ込められたら旧い友人が現れるのか

仕事がテンパっているときにヨメから電話だ。
「クルマに鍵を閉じ込めちゃった」

ロックしないで立ち去ると勝手にロックする半端に賢いクルマなので、いつかどちらかがやるだろうとは思っていた。今までなかったのが不思議なくらいだ。
と、感心してもいられない。なにしろクルマの中には次女の荷物もヨメの荷物も入ったままだというし、このままではクルマで子供たちを迎えにいくこともできない。幸いクルマは我が家の車寄せに停まっているのでよそ様に迷惑をかけないのがせめてもだ。
で、ヨメが会社の最寄り駅まで僕のスペアキーを受け取りにくることになった。外は冷たい雨が降っているし、仕事は忙しいしで、厄介なことである。

駅に着いたという電話がかかってきて、俺ももうすぐつくぞと足早に歩きながら話していると、
「あ、Wさんがいる!Wさーん」とヨメが云う。旧い友人の名前である。しばらくしたら電話からWの声がする。わ、ほんとうだ。「なにしてんの?」「そっちこそなにしてんだよ」

奇遇というものはあるものだなあ。ヨメとも大笑い。悲惨な状況だったのに、悪くないなあ世の中は、という気分になりました。こんど飲みにいこうねと約束。

その後は;無事にいろいろ片付いて、仕事もなんとかなった雪の火曜日でした。