なぜアル中の映画を見ながらおつまみを探して冷蔵庫を探っているのか

映画「失われた週末」を見た。

たまたまハードディスクに録画されていたので、なんの予備知識もなく、監督がビリー・ワイルダーだから当然喜劇だと思って見ていた。冒頭から主人公が筋金入りのアル中だとこと細かく描かれる。オペラを見に行った劇場で「乾杯の歌」を聞きながら落ち着きがなくなり幻影を見るシーンなんて可笑しくてたまらない。どういうコメディなのかなあと思って見ていたら、だんだん笑いごとじゃなくなるし、行動も常軌を逸してくるし、むしろホラーになっていく。主人公がどんどんダメになっていくリアリティは怖いほどだ。
映画監督って、表現しようと決心するとここまでしつこいんだと感心した。

状況を観客に理解させるためのスキルは凄いなあ。今の安易なカット割りに比べると本当に自然に伝わってくるよ。ひとつのシーン、ひとつの芝居での情報量がたっぷりある。で、しつこくない。三谷幸喜の映画もこういうクラシックな表現がときどきあるよね。僕は好きです。

アルコール依存症は怖いなあ、と思いながらきょうもお湯割りを飲んでいる。くわばらくわばら。お酒はほどほどにしよう。