なぜ真夜中の雨の中をぶらぶら歩いて家に着いてしまうのか

は、と気がついたら終電の時間だった。

日中は伝票だの清算だの連絡だの、会社員らしい仕事ばかりでバタバタしているうちに「もうしわけないが時間がなくて」というような仕事がいくつも舞い込んでくる。もうよそに依頼する余裕も無く、自分でやっつけるしかない。で、夕方からデスクに張り付いて、ひとつずつ片付けていく。飯を食う暇もないのでコンビニに行き、肉まんを棚ごと買う。オフィスに戻って若いスタッフたちにばらまくとウケた。そんな娯楽しか無いのだ。

最後の仕事が終わって、時計を見ると、あれれ終電ギリギリだ。渋谷までの山手線はあるので、駅に駆けつけてこれに乗る。もちろん渋谷からの井の頭線はとうに終わっている時間である。冷たい雨の中、例によって遅れた山手線が渋谷駅にたどり着くと、ホームも通路も、いつもの終電前後の人の数ではない。こんなに大勢の乗り遅れがいるのは凄い。今夜は送迎会とか、そういう集まりが多かったのかな。タクシー乗り場に行くと尋常でない行列。こんなのもはじめてだ。一時間待っても乗れるかどうかわかったものではない。こんなことなら飲んで待とうかなと駅から少し歩くが知っているBARに行ってみる。ところが、ここも満員。立って飲んでいる人もいる始末。あきらめて、渋谷から下北沢まで歩くことにした。

以前にも同じようなことがあって、そのときは夏だったし、夜風が気持ちいいので下北沢まで歩いてみたのだった。そうしたら45分ぐらいで帰ってきてしまって驚いたのだった。

今日は冷たい雨の中を傘をさしてずいずい歩く。ワークブーツと厚手のスポーツソックスを履いていたのが幸いして、ペースを崩さず、やはり45分で到着。アンダーも化繊を着ていて正解だ。スポーツウェアはこういうときにも役に立つ。思わぬエクササイズと、タクシー代の節約で得したような損したような・・・。