なぜ星新一の文体や考え方から未だに逃れられないのか

versaloft2007-07-10


今でも星新一の影響下にある、と思う。
僕と同年配の人間は誰でも当時のSF界の影響を受けていると思うけれど、自分は特にそうだと思う。この本を読んで、鈍感にも、じわりと想い出しました。

星新一の出自についてここまで詳細には知らなかった。大きな会社の御曹司で、継いだときには借金だらけで、ついには社長を辞めて作家になったという程度の知識だった。どちらかというと継ぐ気がなくて、作家になったのだろうとばかり思っていたが、実は違ったのかも知れない。この本を読む限りでは、会社を存続させる責任感は人一倍あったようだ。

物事との距離の取り方。既成概念のいい加減さ。仕掛けをつくって落とし穴に人を落としては喜ぶ子供っぽさ。すべては星新一から教わったことなのだと思う。この本を読んで実感しました。

沢山売れれば「この文章には言いたいことがある」という人もあろうが、力作だ。書いてくれてありがとう。