なぜ朝日新聞の夕刊はめったにないけどおもしろいことがあるのか

versaloft2007-01-04



貧乏話が好きだ。
朝日新聞の夕刊は文化欄に森見登美彦立松和平による「私の貧乏物語」という記事が載っていた。立松氏についてテレビタレント以外のことは何も知らず、森見氏については名前も知らない僕だが、かなり楽しませてもらった。新聞代を毎月払っていると、こういう僥倖があるのである。立松氏の場合は成功する前の武勇伝でしかなく、ほとんど照れ臭さにうっすら包まれた自慢話でさえあるのだが、それもまたご愛敬だ。森見氏の貧乏話は新鮮で、ひょっとしてこの人はまだそちら側の人なのではないかと思わせるリアリティがある。

学生時代の仲間には結構な額の仕送りを早々に使い果たしてしまい、下宿でケーキの素を水で飲んではじっと寝ているような男や、半額の牛丼を大量に買い込んで冷蔵庫に詰め込み、まいにち一つずつ食べて生きながらえていたような奴がぞろぞろいたので、貧乏話を聞いていると当時の無責任で夢見がちな空気を思い出してはうっとりしてしまうのである。