なぜ初マラソンで完走したのにいまいち不満なのか

忘れないうちに書いておこう。日曜日に第5回湘南国際マラソンに参加した。

スタートが朝9時なので7時半頃には現地入りしなくてはならない。世田谷から湘南までは遠いので、朝は4時半に起床。5時過ぎに家を出たときにはもちろん外はまだ真っ暗だ。

現地で着替えるのも面倒なので、はじめから走るかっこうをして出かけた。ウェアはTheNorthFaceの登山用長袖シャツ。この上に黄色い公式Tシャツを着る。サポートタイツの「Biotex」を穿き、その上から薄手の登山用パンツをはく。これは膝上でジップオフできる仕様で、ランニングのときには短パンに早変わり。薄くてストレッチするウィンドブレイカーは畳むとコンパクトになる、これも登山用。あとはサングラスと帽子と手袋、ランニング用のハートレイトモニター付き腕時計。栄養補給用フードと、走るときに入れるウェストバッグ「spibelt」。スタート待ち時間に寒かったら羽織ろうと、使い捨てのアルミブランケット。そんなものをパックにつめて、薄手のダウンジャケットを着て駅へと向かう。

新宿発の湘南マラソン特別列車は快適。指定席なので乗り遅れなければなんの心配もなし。本を読んだりツイッターで呟いたりしていると、東の空が徐々に明るくなって来て、西の空の月が色あせて行くのが左右の窓に見える不思議。車内はとても静かだ。
二ノ宮駅からは有料だが送迎バスが出ている。もちろんバス待ちの列は長い。が、思いのほかスムーズだ。これも座れたのでありがたい。スタート地点の大磯ロングビーチにつくと、富士山がきれいに見えていた。

2万人が集まるだけあって、広い会場にはすでに大勢のランナーが集まっている。支度用のテントまでたどり着くのも、荷物を預けるテントに行くのも一苦労だ。いちばん困るのはトイレ。仮設トイレがいくらあっても人間が集中するので待ち時間は長い。誰しもレース中に行きたくなると困るので、何度も通うことになるから、よけい混むのである。

天気がよく、気温は徐々に上がっているようだ。そうこうしているうちにスタート時間になる。スタートは申告時間の早いランナーからはじまるので、僕のいた最後のグループが出発したのはすでに20分過ぎていた。出発点と、マラソンのスタートラインは数百メートル離れている。その途中にあったトイレが空いていたので、すかさず用を足す。すっきりしてからひとりで走って行くと前方遠くにスタート地点らしき物が見えて来た。と、思うと「あと3分で締切ります。30分を越えると失格となります」と非情なアナウンス。公式スタート時間からすでに30分になろうとしているので、それを越えたら失格だと云うのだ。20分以上待たされたのにそれはない。あわててスピードを上げ、なんとかスタートはさせてもらった。おそらく最後尾のランナーだったはず。実際の記録は足につけたチップを計測してくれるので、公式時計とは違うのだけれど足切りは公式時計なのだ。制限時間は関門ごとにあり、足切りされて行く。越えたら失格。バスで回収されてしまう。つまり回収されなければ完走できるのだ。

走るのは自動車専用道で、スムーズだし眺めもいい。海がきらきらと朝日を反射していて美しい。風もなく、日差しが温かい。心拍数を上げすぎないように気をつけて走って行く。気分がよろしい。集団に追いつき、ペースを崩さないように抜ける人は抜いて行く。最後尾の集団だから抜くばっかりだ。ゼッケンに出発のグループ記号がAからGまであるので、だんだんGからF,FからEと周囲が変わって行けば、順位を上げている事が実感できる。

沿道には大勢の見物人と応援の人々。ハイタッチしたり、声をかけ合ったりして楽しく走らせてもらった。ありがたいことである。
江ノ島が折り返し地点で、少しもどったところが20km。このへんまでは軽快に進んだ。24kmでも大丈夫。僕は27kmが今までの最長走行距離で、そこを越えたら未知の世界。するとはたして28km付近で足がずどーんと重くなった。膝が曲がらず、伸びず、足が思うように進まない。湘南大橋の上り坂でついに走れなくなり、歩いてしまった。そこからはだましだまし、走っては歩き、また走っては歩き。同じような人が徐々に増えて来て、さかんにガードレールでストレッチングしたりしているが、僕は止まったらダメになってしまう気がして、とにかく前に進んだ。最後の10kmは棒になった足を左右に出すのがせいいっぱい。こんなにきついとは。おそるべしフルマラソン

ゴール手前1kmでとぼとぼ歩いていたら、5時間30分のゼッケンをつけたペースメーカーのお姉さんが大勢を引き連れて追いついて来て「はい、がんばって!」と声をかけてくれた。足の痛みをこらえてその群れに参加する。ホテルの広場に登る最後の坂道をひーひー云いながら駆け上がり、一緒にゴールゲートをくぐることができた。時計は5時間32分。ネットタイムはマイナス30分くらいだろう。やったー、なんとか完走できた。

完走記念メダルを首にかけてもらい、仲間とも会えて健闘を讃え合う。いやはや良かった。

でも、最後まで歩かずに走りきりたかったな。脚力をもっとつけて、なんとかしたいものだ。と、たった2杯のビールでふにゃふにゃになった体をロマンスカーに乗せて湘南を後にしたのでした。