なぜ広告の行く末を考えてはらはらへらへらしているのか

広告屋になってから、もうすぐ30年経つ。

学生時代から広告コピーを書いてギャラをもらって来たことを考えると、30年はとっくに過ぎている。今でもおっさんになったなあ、と思うだけで、その内面はそれほど変わっていない。実力も、たぶん大して変わらない。

高校生の頃から広告業界に憧れていたので思いを遂げられたのは幸甚だが、大学卒業の頃にコピーライターブームが来たのは誤算だった。優秀な人がたくさん業界に来てしまったので、出る幕がなかった。しかたなく業界のはじっこの方でなんとかご飯を食べて来た。もちろんそれでも幸せだ。外国のクリエーターと交流できたり、思いがけない光栄の機会も得た。高校生の頃から考えたら夢のようだ。

ところが、最近この業界は危ない、と思うようになって来た。

既製品を売りたがる輩が多くなりすぎた。この世界はオーダーメイドである。他人のスーツを喜んで着る奴はいない。メディアが限られているうちは、選択肢が少ないのだからそれでも通用したが、チャンネルも、メディアも事欠かない世の中にはまったくいらない。

何がいいたいかというと、再びアイディア本位に戻らないと、在庫を抱えて沈んで行くに決まってる。あんまりあからさまに書きにくいのでぼんやりしてるのは許してね。

カンヌ国際広告祭の報告を聴いたので、そんな不安に教われながら焼酎を飲んでます。