なぜ代官山の写真館でレンズを見つめてにっこりなのか

家族写真はいいものだ。

ずいぶん前にプロの写真家と話していて、いい写真とは、という話になった。技術的にも実績もレベルが高いその写真家は、いろいろ教えてくれたあとでこう言った。
「そうはいっても、家族が家族を撮った写真にはかなわないんだよ」
具体的に何が違うのかわからないけれど、写るものが違うということなんだろうか。僕はいつもそんな言葉を励みに自分の家族の写真を撮るんだけど、プロに撮ってもらうのも、もちろん、いいものだ。プロでなければ撮れない写真があるから。

長女が1歳の時も、七五三の時も撮ってもらった写真館で、彼女の成人式の写真も撮ってもらった。成人式の当日に撮る方法もあるんだけど、それは慌ただしいし混んでるし、料金も今の方がリーズナブルなのだ。中には夏に撮るという猛者もいるらしいが、暑い時期に晴れ着では辛かろう。

髪をセットして晴れ着を着て、と、準備するのに二時間かかる。本人はたいへんだ。が、家族はのんびり蕎麦屋で昼飯を食べて待つだけだかららくちんだ。
蕎麦屋から戻ってみると、これはどこのお嬢様ですかというようなモデルさんができ上がっている。おおいに感心する。晴れ着のピンクがよく似合っている。

撮影は昔からずうっとご主人に撮ってもらっている。もうお爺様だが写真の腕は確か。

旅先で撮るカジュアルな集合写真もリラックスしていて好きだけど、写真館ならではのトラッドな絵も、けじめが感じられて好きだ。昨今のデジタル写真の氾濫で写真はありふれたものになっていく一方で、写真館の「ちゃんとした写真」の価値が見直されていくかもしれないな。こういう写真館はいつまでも残って欲しい。

出来上がりが楽しみです。