なぜ訃報を聞いてスモッグ一家の親分の勇姿を思い出すのか

赤塚不二夫については書いておかなければならない。

僕にとっての漫画の原体験は手塚治虫ではなく、もちろん藤子不二夫でもなく、赤塚不二夫の「おそ松くん」である。まだ少年サンデーが40円であった頃の話だ。
もちろんそれ以前にも山根赤鬼の「よたろうくん」などは愛読していたのだけれど、それは床屋の待合室で読みふける程度のものであって、熱中したのは「おそ松くん」なのだなあ。とにかくテンポも、科白も、キャラクターも、素晴らしく、大好きでした。漫画を暗記しては、同級生と口で再現したりしていたものでした。

とはいうものの、思い返せば赤塚漫画との蜜月は短かった。おそ松くん、もーれつァ太郎、天才バカボン、と読み続けていたが、小学生の6年間が限度だったような気がする。特にバカボンのギャグがエスカレートした頃は、読んでいて妙に冷めていた。「ああ、あっち側へ行ってしまった」というような感慨があって、他人事に感じたものだ。たぶん、あの悪ノリの徹底した面白さに、ついて行けなくなったからだと思う。

そうしてギャグマンガの頂上を越えていってしまったあとは、絵柄だけが活躍するフジオプロの漫画になってしまった気がして、同時代的読者ではなくなってしまった。

それはともかく、おそ松くんとバカボンは今読んでも素晴らしく面白い。竹書房が文庫化したときにBOXセットで買い込んで、我が家ではいつも手に取れる場所に置いてある。不滅の名作だと思う。

ご冥福をお祈りします。

Youtubeを見ていたら、初期のアニメオープニングを載せている奇特な方がいる。音楽は我らがアイドル三保敬太郎です。