なぜ箱根の山の中で走り回る人を見てウルウルするのか

versaloft2007-05-27


かなりいかれた人たちを見てきました。トレイルランナーたち。素敵だぜ。

箱根の山の中を延々50km以上も走って回る競技会でした。その名はOSJハコネ50Kという。トレイルランニングというのは、乱暴に云えば山岳マラソンです。アメリカでは険しい山麓を走るばかりではなく、砂漠やオフロードを走るものらしいですが、日本ではせっかく山があるんだからと、こういう企画になるのかもしれません。

参加したわけではなく見物に行っただけなのですが、これは凄い。ランナーたちが走るコースを少しだけ歩いてみたのですが、とても走ることなど考えられない胸突き八丁の登山道でありました。それをハコネの外輪山をぐるりと回り、湖畔に沿って戻ってきて、真ん中の神山を越えて帰ってくる。あんたたち変だよ。ほんとに凄すぎ。

もちろんレースなので駆け引きもあれば出し抜くのもあり、なのだけれど、どういうわけかランナーたちがゴール後に仲がいい。ノーサイドのあとは敵味方はなし、というダンディズムより、もっと親密な感じ。端で見ていると連帯感、みているこっちは疎外感。あれだけの苦労をともにすると、他人とは思えないのかも知れないなあ。

トップは6時間台でゴールしてくるのだが、一般ランナーたちは10時間を超えてからがゴールのピークだ。ひとりひとりのゴールに、拍手が湧く。14時間でフィニッシュラインは締め切りになるので、その間際に駆け込んでくるランナーたちへの声援はさらにすごい。よかったなー!がんばったなー!という気持ちがこもっている。拍手も声援も、ほとんどはすでにゴールした人たちなのだが、顔も名前も知らないランナーがやってくるだけで大騒ぎ。そのランナーも大感激で泣きながらゴールしたりする。見ている人たちも感極まって泣いたりする。みんな温かいなあ。

レース終了後も、夜道をひたひたと走ってくる人々がいる。失格を知りつつ、ゴールを目指すランナーたちだ。彼らががヘッドランプを点けて闇の中から走ってくる。登山鉄道のホームに溢れていた家路についたランナーたちがそれを見付けて、みんなで手を振り、口笛と拍手と声援を送る。ランナーがちょっと照れながらも、手を振り返すのが見えた。彼らは分かり合ってるなあ。なんて豊かなんだろう。