なぜオーケストラの音を聴いて心がじんとしてしまうのか

versaloft2007-01-23


茂木大輔さんはN響の主席オーボエ奏者だ。

有名な人であるので知らない人はいないと思うが、もし万が一知らない人は検索すればすぐ分かるのでよけいな解説はしないのである。この人のオーボエは素晴らしい、のかどうかは実はよく分からない。生演奏をちゃんと聴いたことも無く、僕にはプロの音はどなたの音も素晴らしく聞こえるので、一番いいのかそうなのかどうなんだ、と言われると自信が無い。でも間違いなく文章は一番うまいと思う。

ヨメが買ってくれた二冊の文庫本がこの茂木さんの著作であった。立ち読みしたらやめられなくなったので夫である僕のために買ってきてくれたのだという。ありがたい。持つべきものは妻である。
もともと、同じ著者の「オーケストラ楽器別人間学]という本は単行本発売当時に買って、ゲラゲラ笑って、おもしろいよと他人に貸したらそのまま帰って来なかったのであった。

この人の文章のいいところは、楽しいこと幸せなことはもちろんだが、悩みとか苦しみとかイライラとかがちゃんと書かれていて、それに共感しながら読めることだと思う。こういうのってちょっと他には無い気がする。特に指揮者と演奏家との葛藤や孤独感は、想像するのも難しい世界だがちゃんと伝わってくる。おもわず本をもつ手に力が入って、自分で驚いたりしているのである。