なぜ桜吹雪のなかで呆然と風を見送るのか

八重桜が花盛りだ。

朝のランニングコースに、二本の八重桜があって、揃ってボンボンのように固まって咲いた花を掲げている。その様子が可愛らしい。
咲いたなあと思っているうちに、翌日には若葉が顔を覗かせてきて、その色合いが、なにやら桜餅や道明寺の和菓子を連想させる。

午後になって仕事で外を歩いていた時のこと。銀座の外れに八重桜の並木道がある。折良く、というか折り悪く、というか、強い風が吹いてきて辺り一面が桜吹雪で真っ白になった。風のかたちが、踊る花びらで縁取られるような、そんな風景だった。